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■深い余韻を与える “建前、のち本音”
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先に紹介した「落差の演出」と比べると、プロでも使う人はそれほど多くはない手法ですが、上手に使うととっても効果的なのは“建前 、のち本音”です。といっても、例によってとってもカンタンな手法です。
こんな経験はないでしょうか。たとえばあなたが結婚していたり、長くつきあっている彼女や彼氏がいたとします。あるいは子どもでも結構です。そのパートナーや子どもから「なんでそんな言い方するの!」などと不満をその場ですぐに言われるのと、2、3年たったあとにポツリと「実はあのときすごくつらかったんだ」などと言われる場合、どっちが心に突き刺さるでしょうか。ほとんどの人が後者だと思います。時間をおいて本音を言われると、人はその言葉に重みを感じるという習性があるのです。これを文章に応用してしまおうとういわけです。
かつて、広島に原爆を投下したエノラゲイの機長の記事がありました。それはこういった感じのものでした。
「原爆について本当はどう思っているのか知りたくて、元機長に直撃した。彼はこう言った。『俺は軍の命令に従っただけだ。何がいけなんだ。戦争を終わらせたんだから英雄じゃないか』。実際、元機長はアメリカでは英雄として扱われ、戦争関連のイベントに出ると必ずサイン攻めにあっていた。広島に出向くことはなく謝罪の言葉も一言もなかった。そんな彼が亡くなった。アメリカのマスコミは英雄の死として称えた。だが生前、彼はごく親しい人にこう漏らしていたそうだ。『俺が死んだら墓碑銘は俺の名前だけにしてくれ。絶対に『原爆を投下した』という文言は入れないでくれ──」
ポイントは、前半は「痛くもかゆくもない」というふうに表現することです。なにか事件やら問題、争いなどがあったとしても、全然たいしたことがないように表現しておく。そして、最後の最後で、それとは正反対の思い、すなわち本音を吐露するようにする。するとより印象深く、余韻の残る終わり方ができるのです。
「落差の演出」にも通じるところもありますが、本音を最初に表現してしまうのではなく、最後の最後で本音を吐露するほうがよい、と考えてもらうと“建前、のち本音”の意味がよくわかってもらえると思います。
99%は世間体、最後の1%で本音。これが効くのです。 |
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