編集プロダクション　今日の現場から　物語社

Home

＞

今日の現場から＞Vol.7＞女性から多いお願い



		弊社は写真撮影の仕事もしていますが、撮影して納品後、ときおりこういうお願いを頂くことがあります。「写真、とても気に入ったのでぜひ譲ってほしいのですが」写真は法律的には撮影者に版権があることになっていて、その人の許諾を得たり買い取ることで自由に使えるのですが、興味深いのは100％が女性からのお願いだということです。みな、自分がとてもきれいに写っているのでほしいと言うのです。その中で印象的な出来事が一度ありました。元気な高齢者を紹介する記事の連載をもっていたとき、取材した方の息子と名乗る人から、「母が余命いくばくもないのだが、この間撮影してもらった写真を母がとても気に入り、いくつかほしいと言っている」という電話が入ったのです。撮影した方は80歳代半ばの女性でした。その歳になってもきれいに写った自分の写真を思い、それも死の淵でそれをほしいと思う、どうしてなんでだろうと思いました。状況が状況だけに実費分くらいのお金をいただくだけにしましたが、女性にとって、きれいに写った自分の写真というのはどんな意味をもっているのだろうかと考えずにはいられませんでした。シャッターを押す。その単純な行為に、ときどき大きな意味を感じるときがあります。