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今日の現場から＞Vol.7＞無名の物語



		昨年、知人が何人か亡くなったりしました。どれもかなり先輩の方々で、なかには業界ではそれなりに知られている人でしたが、どの方も全国紙にもテレビにもまったくとりあげられることはありませんでした。　テレビに出ている有名人が亡くなるとすごい騒ぎになりますが、ちょっと業界で知られた程度だと世間的にはなんのインパクトもないのですね。　そこでふと思ったのは、「世の中っていうのは日々『無名の死』であふれているんだな」ということでした。報道されることはないけど、その裏では無名の死が日々続いている。そしてそれは、『無名の物語』が日々消えていることと同義なんじゃないか、と思いました。その人が生きてから抱えてきたさまざまな思い、体験が世の中からプツプツと消えていく。　ま、どうしようもないことなんだけど、その消えていく物語を少しでも拾えないのかな、と個人的に思ってしまいます。　たとえば戦争体験をした人、そこにはいろんな思いがあるでしょう。それを拾っていかないと、将来の人類に伝えるべき大事なことが伝えることができなくなってしまう気がします。でもそれはプツプツとプツプツと消えていってしまうのです。なんの報道もされることもなく……。　物語社として、１つでもそうした物語を拾えないかと思います。